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経営者はすべからく孤独なのか……「経営者は人間不信に陥りやすい」説を考える

経営者と社員は仲良くすると、言いたいことが言えない!?

「社員と仲良くなりすぎると、厳しいことを言いにくくなるので……社員とは飲みに行かないようにしています」
「目をかけて育てていたつもりの社員がつい最近、独立してしまって。裏切られたような気持ちです」

経営者と話していると、社員に対してそんなグチめいたボヤキを聞くことがあります。
大別すると、一つは「経営者たるもの、社員とは距離を置くべきだ」というもの。もう一つは、「社員と経営者は理解しあえないもの。社員に裏切られるような経験をしてしまうと、人間不信にならざるをえない」というもの。私も事務所を経営する立場の一人として、“経営者の孤独”に関する持論を書いてみたいと思います。

まず一つめの「経営者は社員と距離を置くべき」について。社員との距離感については、経営者の考え方、社風、取引先との関係性などにもよっても変わってくると思いますので、それぞれ心地よい按配を探ればよいのではないでしょうか。

ただし、一つ引っかかるとすると、「仲良くしたら言いたいことを言えなくなってしまう」ということを言う経営者の方がいるということ。これは、決してそんなことはないはずです。もっと言えば、仲良くしようと仲良くしまいと、言いたいこと、言わなければならないことはきちんと言い合える関係性を構築することが大事だということです。

社員に会社の業績、自分の報酬を包み隠さず言えますか?

たとえば、社員に「会社の業績や、自分の報酬や経費の使い方を知られたくない」という経営者の方がいらっしゃいます。
もちろん大人同士、すべて腹を割って話すというわけにはいかないこともあるでしょう。

しかし、自分自身はポーカーフェースでいるつもりでも、経営者に何かやましいことがあれば、社員は敏感に察知します。
最初は小さなほころびであっても、不信感が広がっていけば、社員全体の士気に関わり、最終的には「辞めてしまう」という事態にもつながりかねません。

私自身、毎朝、必ずミーティングをして、言いたいこと、注意すべきこと、連絡事項は必ず伝えるようにしていますし、伝えたことができていない時は、口を酸っぱくして何度でも注意を促します。

また、事務所の業績や自身の報酬、事務所として目指す数値目標、スタッフの昇給も含めたキャリアデザインについても、包み隠さず話し、社員と思いを共有するようにしています。

そこのコミュニケーションの軸は、「仕事を円滑に進めていくため」ということだけです。
もし「あまり厳しいことを言うと、社員が辞めてしまうのでは……」と思ってガマンをしていたとしても、いずれ問題は露呈するのです。

言うべきことを言って、それで辞めてしまうのであれば仕方がありません。しかし、社員に気を遣って「言いたいことをガマンした」結果、辞められてしまったらお互い不幸なことです。

言わなければならないことは、言うべき時に言い、なるべく早く解決していく。それこそ会社は仲良しクラブではないのですから、徹底するべきでしょう。
ビジネスが上手くいくために、やるべきことを愚直にやっていく。スタッフとのコミュニケーションも、掲げる事業の目的に沿ってシンプルに実践していくことこそが結局はうまく行くように思うのです。

一人でいばらの道を進んでいるようで、傍らには必ず支えてくれる人がいる

もう一点、「社員と経営者は理解しえない」というもの。
経営者と社員との関係性で、一つだけ大きく違う点を挙げるならば、経営者の役割は「決断する」ことにあるということです。

スタッフ、社員、信頼できる人の意見を聞くことはできても、最後は自分で悩んで、答えを出していかねばならない。それは経営者の宿命です。最後の決断を下さなければならないときに、孤独感を味わざるをえないこともあるでしょう。

とはいえ、人の言いなりに動くのではなく、自分で決めて動く。そこにこそ独立独歩でビジネスを始めた醍醐味があるのではないでしょうか。

そのうえで、一人で事業をやっていくのではなく、社員を雇い、事業を拡大していくと考えるならば、社員一人に辞められて人間不信に陥っているようでは、身体もメンタルも到底持ちません。
何がビジネスにとって正解かはわからないのですから、信念を持って突き進んでいくべし、だと思います。

そして、正解がなかなか見えないなか、一人でいばらをかけわきながら進んでいるようで、やっぱり傍らで支えてくれるスタッフがいるからこそ、今があるとも思うのです。キレイごとのように聞こえるかもしれませんが、これは偽らざる本心です。

私も、少なからずのスタッフの出入りを経て、今に至ります。あきらめることなく採用活動を継続し、さらなる良きチームを目指していきたいと考えています。

Photo:123RF

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