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多くの経営者が避けて通れない税務調査。不安、疑問を解消する「正攻法」の心得

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「税務調査って、いつ入るのか」「入りやすい業種や会社の傾向ってあるの?」など、とくに若葉マークの経営者にとっては、何かと不安、疑問が先立つ税務調査。一体どんなことが行われるのか? 税務調査官のホンネ、駆け引き、意外な裏常識などをQ&A方式で解説していきましょう。

税務調査の実態とは?

――よくテレビなんかでマルサが列をなして、会社に押し掛けてくるシーンがあります。税務調査もあんな感じで突然、税務署の調査官がやって来るんでしょうか?

五島 テレビや映画のイメージからか、税務調査というと、そのような誤解をしていらっしゃる方も多いようです。

税務当局が行なう調査には、

  • 強制調査
  • 任意調査

の2種類があります。強制調査とは、裁判所の令状を得て、国税局の査察部、いわゆるマルサが強制的に行なう調査で、脱税額が多く、なおかつ悪質な仮装隠蔽工作がなされたと判断される場合に実施されます。

一方、一般的な税務調査の大半は、税金に関する質問を納税者に行うことができる「質問検査権」に基づき行われる任意調査で、原則的に、突然、税務署員が押し掛けてくるようなことはありません。

――では、どういう会社を対象に、どんな形で知らせが来て、何日間ぐらいかかるのでしょうか? また、業務が忙しいときは、拒否は可能ですか。

五島 大半のケースでは、顧問税理士に連絡がきて、都合の良い日程を決めることになります。まれに、事前連絡なしに突然調査官がやってきた場合でも、日程調整は可能ですので、あわてずに顧問税理士に相談するとよいでしょう。
所要日数は、平均で2日間、規模の大きい会社で3日間程度でしょうか。

対象となるのは、簡潔に言うと、法人税を納めているような、利益の出ている会社です。とくに、売上などの数値が急激に変化しているような会社は要注意です。

業種としては、一時期のIT企業など、流行りの業種に入りやすい傾向もあります。
また、個人事業主には入らないと思っている方もいますが、個人事業主でかつ売上げが500万円程度の事業者に、調査が入ったケースも。業界、事業形態に関係なく、すべての経営者に調査のリスクがあると考えておくのが無難でしょう。

また、強制調査ではないので、業務が忙しいといった時など拒否、日程調査は可能ですが、理由によっては罰則規定もあり、質問を黙秘したり、虚偽の陳述をしたりすることもできません。任意調査といっても、事実上は強制調査といっていいでしょう。

――調査中は、ずっと立ち合わないといけないんですか?

五島 税理士によっては、調査期間中の立ち合いを経営者に求めるケースもあるようです。私の場合、最初の一時間ほど、税務署員とのヒアリングの間だけ同席してもらう程度で、一般的にずっと立ち合う必要はありません。

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税務署員は何を調べるのか?

――具体的にはどんな調査が行われるのでしょうか?

五島 主に帳簿類のチェックが実施され、調査官が見るポイントとしては、次のようなものが挙げられます。

一つは、「期ズレ」。たとえば、3月決算であった場合、3月の売上などを4月に計上していないか。計上期のズレを見ます。
二つ目には、従業員が多い場合は人件費がチェックの対象に。架空の人件費を計上していないかなどが見られます。
三つ目として、経費が多い会社も絶好のターゲットです。会議費を交際費としていないかなど、細かい部分を指摘されることもあります。
さらには、架空で外注費を計上していないか、在庫(棚卸資産)の計上漏れがないかなども、目をつけられやすいポイントとなります。

――修正申告、追徴金が発生するよう、税務署に対するいわゆる「お土産」を用意する、なんて話を聞いたことがあります。

五島 昔から、そういった話は聞かれますが、私は決してオススメしません。なぜなら、この会社は「お土産」があると分かった時点で、調査のターゲットにされてしまうリスクもありうるからです。

必要以上に恐れることも、ムリに話す必要もナシ

――例えば、領収書を失くしたり、記憶があいまいで調査官の質問にしっかりと証明ができなかったりする場合、修正申告で提示された金額を払わないといけないのでしょうか?

五島 いいえ、必ずしも払う義務はありませんし、適正な申告をしていると考えるならば、きっぱりと正当性を宣言するべきです。駆け引きのポイントとして押さえておきたいのは、

  1. 覚えていないことに無理に答える必要はありません。
  2. 立証責任は税務署側にあり、納税者側にはありません。

ということです。

もし、自分の中で記憶があいまいであれば、あやふやなことをムリに証言するより、「覚えていません」「調べて後でご連絡します」ということで構わないのです。
ただし、事前にきちんと説明、証明できるよう、領収書をなくさないなど書類管理には厳重に注意を払っておくことが望ましいです。

また、大前提として、調査官のスキルや考え方、それに対応する税理士の方針、経験値などによっても、税務調査事情は大きく異なります。
税理士を決める際には、税務調査への考え方やどの程度の経験があるのかなども、事前にヒアリングしておくとよいでしょう。

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