事業の方向性、従業員教育に思い悩み、一旦休業。 その間も絶やさず連絡をくれて、再スタートを切ることができました。前編
「現場のスタッフと経営者の自分との意識の差をいかに埋めていくか」――従業員を抱える社長ならば誰もが思い悩むポイントではないでしょうか。訪問看護事業で業績が好調に推移するなか、何もかも自分で背負いこむ形で一旦休業した田中さん(仮名)もそうでした。再起に一歩を踏み出すことができたきっかけは何だったのか。お話をうかがいました。
田中雄二さん(仮名)
2010年、訪問看護の会社を設立。質の高いサービスが評判となり、順調に売上を伸長。しかし、人材とサービスのクオリティの維持、確保に悩み、15年に一旦休業。他のビジネス展開なども考えたものの、再起を決意。17年、新拠点で訪問看護の事業を再開予定。
会った複数の税理士のなかで、一番ストレートに話をしてくれた
田中 看護関連の仕事を経て、理学療法士の私と看護師の妻の2人で訪問看護の会社を立ち上げたのは6年前のことです。
お金のことはプロにお任せしようと考えていたので、経営者の知人から、数人、税理士を紹介してもらい、話を聞きました。
そのなかで、一番ストレートに話をしてくれたのが五島さんだったんです。
現場の経験はそれなりに積んでいたものの、経営やお金のことについては、何もわからないままで、実は頭の中は不安だらけでした。
そんなモヤモヤとした不安や悩みに対し、ある意味コワイくらい(笑)、ズバズバとアドバイスをしてくれた。
「数字だけ見てくれれば」と思っていたのが、経営についても親身になってくれる税理士に出会えたのは、非常にありがたかったですね。
「乗れる時に乗る!」の助言を受け、売上も右肩上がりに伸長!
田中 さまざまな助言のなかでも、特に会社立ち上げ時に言われたのが、「機を見て敏」というのか、いかにスピード感を持って会社を回していくか、ということでした。
どんなビジネスも、事業が軌道に乗るまでが苦労すると思うのですが、私の場合は非常にラッキーで、創業時からお客さんがついてくれて、売上も好調だったんです。
コーディネート役になるケアマネージャーさんからの紹介も多くいただき、しまいにはスタッフが追いつかず、やむなく断っているような状況でした。
そこで、五島さんに言われたのが、
「状況や時期を見て、乗れる時に乗る。いい時にきちんと売上を上げていきましょう」と。
私は元々マイペースな性格で、「そう焦らず余裕を持って徐々に軌道に乗せていけばいい」と思っていたのですが、「確かに五島さんの言う通りだ」と。
そこで、いい人が見つからなくて苦戦していた人材募集も、助言に従い相応のコストをかけて採用広告を出稿。面接も複数回実施するようにしました。
労務管理も「時間がかかっても自分でやればいい」と思っていましたが、資金の余裕があるならば、「専門家に任せられることは任せたほうがいい」というアドバイスで、社会保険労務士もお願いすることにしました。
こうして人員を増やし、適切にコストをかけることで、売上もさらに上昇。事務所も小さなワンルームから、都心の大きな事務所に移転し、自宅を社宅にする、売上に応じて役員報酬をアップしていくなど、その都度、必要な対策についても、スピーディに対応していただいたのもありがたかったですね。(後半に続く)