「税理士選びへの道・我が社の場合② 前半」税理士のイメージが“いい意味”で180度裏切られた! 倒産の危機に瀕し、あの時相談したからこそ、今の私があります
会社を創業するのと同様、先祖代々続いてきた事業を業態転換させ、成功に導くのはハードルが高いもの。祖父の代から続いてきた青果店を食品スーパーに業態転換した直後に、店じまいの危機に直面。真の相談相手を求め、税理士を変更した「丸三ストアー」の石井敦社長に、税理士選びの体験談をお話しいただきました。
丸三ストアー
1932年、東京・大田区に青果店を創業。戦後、同じ敷地内に鮮魚店や精肉店などを誘致し、集合マーケットに。さらに2000年に食品スーパーに業態転換した。青果の目利きに自信を持っており、新鮮野菜の全国宅配サービスも手がけている。facebookページ
青果店から食品スーパーへ転換するも、オープン直後から危機的状況に
石井 祖父の代から青果店を始め、私で三代目。1990年頃、20代後半で後を継ぎました。自社ビルの1階に、鮮魚店や化粧品店などのテナントも誘致し、それなりににぎわっていたのですが、建物が老朽化してきた上に、近隣にスーパーが出店する噂も聞こえ始め、このままではお先真っ暗だと思った。そこで「どうせ建て替えるなら勝負をかけよう」と2000年に食品スーパーに業態転換したのです。
従来のテナントさんも「社員として雇用するから」と説得し、他のスーパーの経験者を招き入れて、開店にこぎつけました。大手スーパーの研修に行き、経営コンサルタントも入れて準備万端。真新しい店舗の前に立ち、「俺も30代にしてスーパーの社長だ」と鼻高々でしたね。
ところが、天狗になっていられたのはほんの一瞬でした。開店直前に、有名スーパーが駅前に出店したのです。これで売上や利益などの予想が完全に狂ってしまった。しかも、その予想売上が100%達成されるという前提で、従業員を雇っていたので、明らかに経費がオーバーしていました。
正直、私は、数字が苦手で、どれくらい赤字なのかは正確にわかっていなかったのですが、みるみる資金が減るのを見て、肌感覚で「間違いなくヤバイ」と感じた。先々代からの付き合いである税理士の先生に相談したのですが、「これだけ売上があるから大丈夫でしょう」などと脳天気な答えしか返ってきません。
しまいには眠れなくなってしまい、知り合いの経営者の先輩に相談すると、「若くて、話をよく聞いてくれる税理士さんがいるから、紹介してあげるよ」と。それでお会いしたのが、当時はまだ税理士事務所に勤めていた五島さんでした。
「このままじゃ3か月でツブれる……」。アドバイスに従い、からくも難を逃れる
「細かくはわからないけど、おそらくヤバイです」
と、データを見せると、数分もしないうちに、五島さんはこう言いました。
「このままでは、3か月でつぶれますよ」と。
単にそう言うだけでなく、
「売上目標が1日150万円なのに、今は1日平均100万円前後。人件費やローン返済などの経費を考えると、3カ月しか持たない」
「人件費が、パートの月給10人分ほどオーバーしている」
などと細かく説明してくれました。
厳しい指摘でしたが、これまで付き合ってきた税理士と違い、状況を正しく分析していることは、私にも分かりました。
そのアドバイスにしたがって、従業員の勤務時間を削るなどの経費削減をおこなうと、損失の幅を小さくでき、なんとか1年以上は耐えられる状況になりました。
「これはもう付いていくしかない」と思いましたね。
余談ですが、今までの税理士に顧問税理士を変更する旨を伝えると、これまでの財務データを出してこないなどの嫌がらせを受けました。たまにそういう人がいるようですが、「そんな裏の顔を持っているなら、お別れして正解だった」と思いました。
こうして、五島さんに顧問をお願いしたわけですが、その後の対応は驚かされることの連続でした。僕が抱いていた税理士像とは、まったく違っていたからです。(後半に続く)