事業再生・財務revitalization

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中小企業はなぜ儲からないのか? 改めて“強い会社の作り方”を考える

financial woes

日本の中小企業は、「景気に左右されやすい」「利益率が低い」という問題点を指摘されることがたびたびあります。いったいなぜなのでしょうか。利益率を上げて強い会社にするために経営者は何をすべきか。今回は、「強い会社の作り方」について考えてみたいと思います。

―何度か倒産の危機に直面しながら、なんとか踏ん張って来ました。ようやく景気もよくなり、少しずつ業績が伸びてきたのですが、なかなか儲けが出ません。根本的な理由はどこにあるのでしょうか。

五島 そもそも一部の会社を除き、「利益率が低い」のは、日本の中小企業の特徴です。いったいなぜか。理由のひとつに、“中小企業の数が多すぎる”ことが挙げられると思います。限られたパイを分け合うには、企業の数があまりに多すぎるため、利益率が下がってしまうのです。

本来であれば、財務体質が弱い企業や儲からない会社は淘汰され、雇用も流動化していくのが資本主義のあるべき姿です。しかし、リーマンショックなどの経済危機で景気が悪化するたびに、政府は赤字企業の救済策として資金調達のための融資をサポートしてきました。政策自体を否定するつもりはありませんが、端的に言えば、淘汰されるべき企業を延命措置で無理やり生かし、ゾンビ企業を生み出してきたという側面は否定できません。

―でも、融資が得られたことで、復活した企業もあるのでは?

五島 もちろんそれによって蘇る企業もあるのは確かです。しかし、一昨年あたりから、リーマンショックの際に融資した資金の焦げ付きが増えています。つまり、7~8年はなんとか踏みとどまったけれど、やはり復活できなかったという企業が少なくないということ。貸し渋りが問題視された時代と違い、今は、経済危機に際してのサポートも迅速に実施され、金融機関においても元金の返済も5年くらいは待ってくれます。けれどもそれは、多くの企業にとって単なる延命装置にしかなっていないという現実があるのです。

―景気に左右されるのは、やはり中小・零細企業の宿命でしょうか…。

五島 私はそうは思いません。ようは、ピンチを脱して経営が持ち直した時に、社長がどんなアクションを起こすかが、会社の運命を決めるのです。
本来、そこで社長がやるべきことは、経営の根本的な見直しを行い、ビジョンを立て直して改革に着手すること。しかし、単に受注が増えてきたことに浮かれ、目の前の仕事をこなすのに精いっぱい。挙句の果てには、忙しいからと人を採用し、再び景気が悪化すると、会社の存続危機に頭を悩ませる……そんな行き当たりばったりの堂々巡りを繰り返す社長も少なくありません。
「経済危機は7~8年の周期で起きる」といわれています。つまり、いつ何があってもおかしくない状況下、経営体質のあり方を改めて見直す必要があります。

―とはいえ、これまで築いてきたやり方をいきなり変えるのは、大変ですし、不安です。
五島 経営スタイルを変えるということは、当然リスクも伴います。だからこそ会社の景気が良くなり、余力が出てきたときに、抜本的な改革に踏み出して儲かる仕組みを作っておくことが大切です。会社のかじ取りを行う社長が、成り行き任せでは、社員を危機にさらすことになりかねません。

急激な移行は難しいかもしれませんが、先を見通し、少しずつ体制を強化しておきましょう。
かつて日本が右肩上がりで成長を遂げていた時代は、「頑張りさえすればうまくいく」といった精神論が主流で、肝心の“頑張り方”はあまり問われてこなかったように思います。しかし今、問われているのは、やみくもに頑張ることではなく、“どんな風に”頑張るか。そのやり方次第で、結果が大きく違ってきます。

中小企業の問題点2

―実際に、利益率を上げるためには、どんなことをすればいいのでしょうか。

五島 やはり、いかに他社との差別化をするかではないでしょうか。
それは、わたしたち税理士の世界も同じです。比較的安定した業界だと思われがちですが、やはり過当競争は起きており、価格競争も始まっています。私自身、どんな風に他の事務所、税理士と差別化するかを常に考えながらやってきた結果、大きくスタイルを変えました。
通常、1人の税理士が担当する企業は、せいぜい20~30社くらいが業界のルール。ですが、私は現在1人で150社を担当しています。そうした体制を整えるために、事務所の仕事を見直し、効率化を徹底するなど、たくさんの工夫を重ねてきました。

1人で150社を担当するからこそ、金額的にも低価格で勝負することが可能になります。また、スタッフの給料を毎年上げるというルール化も実践しています。多くの中小企業は、「頑張ったら(成果を出したら)昇給するから」といいながらも、なかなか給料を上げられない。それでは良い人材を確保できず、優秀な人材の流出にもつながります。
利益率を上げるというと、コストカットに目がいきがちですが、人件費については“投資”と捉え、長期スタンスで考えていく視点も必要ではないでしょうか。

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