事業再生!? その前にやるべき“赤字”のチェック法
安易な借り入れは御法度と心得るべし
赤字に陥ったらどうするか。
「銀行から融資を受けられないか」。あるいは「お金を貸してくれる知人はいないか」。このように、「まずは金策を」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、赤字状態で安易に借金をするのは御法度。本来は、債務の繰り延べなどを行ないながら事業の再構築、つまり事業再生を模索すべきです。
しかも、実は赤字の内容によって、その対処法、考え方は大きく変わってきます。
「赤字だ」「金策だ」「事業再生だ」と右往左往する前に、しっかりと数字回りを把握する。つまり、赤字ならばその「中身」をチェックすることが先決なのです。
赤字のタイプによって、対処法は異なる
赤字には大きく2つのタイプがあります。
1 一時的、単発的理由による赤字
たとえば、「単発的な案件が流れた」「500万円で受けた仕事に、1000万円のコストがかかった」「社員が辞めて、受注を回せなかった」など。
理由があくまでも一時的なものである場合は、まだ傷が浅いといえるでしょう。ただし、慢性的な赤字に陥るリスクがないかは、確認することが大事です。
「来期はこんなことがないようにしよう」と口では言っていても、「受注額よりコストがかかってしまった」「社員が辞める」といった事態は、いつでも起こりえます。
「一期赤字」は許されても、「二期連続赤字」は絶対に回避すべしと肝に銘じましょう。そのためにも、赤字の「中身」チェックが肝要なのです。
2 ビジネスモデル(仕組み)としての赤字
慢性的な赤字状態にある。その場合は、ビジネスの仕組みに問題がある。つまり、一言でいえば粗利(売上-売上原価)が低いことを意味し、より問題は根深いと考えるべきです。
なぜ、粗利が大事なのか。それは「粗利=ビジネスそのものの能力」を意味するからです。
そして、「粗利-経費=利益」ですから、いくらがんばっても、なかなか利益が出ない。事業再生したいと思っても、再生に値する事業、つまり将来的に市場拡大が臨めない事業となれば、正直そのままでは再生は難しいでしょう。
現実的には、「必要とされていないビジネスならば、やめましょう」という結論になりますが、ドラスティックに判断し、実行に移すのはなかなか難しいことだと思います。
“第三者の目”で、お金回りを冷静にチェックすべし
それに、抱えている債務の額と規模にもよっても判断は異なります。
1,000万円から数千万程度の債務超過ならば、ビジネスの仕組みとしては厳しくても、なんとか踏ん張ってやっていけるケースもあります。
また、業種や規模によっては、一つでも大口の案件をとれば、回していける場合もありえるでしょう。
もちろん、社長自身の“やる気”も大きく関わってきますが、私のクライアントを見ていても、日々の仕事に忙しいなか、ひとりで、その見極めをしていくことは現実的ではないと思います。
一喜一憂することなく、冷静にお金回りを整理し、どれだけ赤字なのか、どこまでコストを減らせるのか、場合によっては社員をどこまで切れるのか。
こうしたシビアな見極めをしていくためには、やはり第三者の目が必須です。
税理士もその一つの選択肢ですが、コトが起こってから慌てることのないよう、専門的な立場から助言してくれる相手、味方をつけておくことをお勧めします。