数字が苦手な経営者でもできる、儲かる仕組みのつくり方とは?
会社の経営を考える際に、最も重要なのは、「儲かる仕組みを作る」こと。そう私は考えています。クライアントや会社回りの数字を見る際にも、常に注視しているポイントですが、では、どうしたら儲かる仕組みを作ることができるのか。その考え方について、解説していきます。
他のコラムでもお話ししましたが、私がクライアント及び会社回りの数字を見るときに、最も重視しているのは「儲かる仕組みがきちんとできているか?」です。
「儲かる仕組み」をもう少し具体的に言うと、「ムチャな働き方をしなくても、利益が安定的に入ってくるビジネスの構造」といえるでしょう。体にムチを打って働けば、一時的に多くのお金が得られるかもしれませんが、長続きはしません。中小企業の経営は短距離走ではなくマラソンですから、継続的に収入が得られる方法を考えるべきです。
儲かる仕組みをつくるための、たったひとつのこととは?
では、儲かる仕組みを築くためには、どうしたらよいのでしょうか。
世界初の斬新なビジネスモデルを生み出す! なんてことができれば良いですが、それに運命を賭けるのは、現実的ではありません。
まずは、目の前にある仕事の数字を改善していくことが大切です。
そういうと、数字が苦手な経営者は何をしていいか、悩んでしまうかもしれませんが、難しく考える必要はありません。
儲かる仕組みがまだ築けていないクライアントに対して、私は、「たったひとつのことをすれば良い」とアドバイスしています。
利益は無視。とにかく仕事のパイを増やすことに徹する
そのひとつのこととは、「仕事のパイを増やすこと」です。
具体的には、
「クライアントの数を1年間で10社増やす」
「1週間の商品の売上個数を今よりも100個増やす」
「ランチ時の平均客数を、30人から40人に伸ばす」
というように、客数や売上個数などを増やすことを目標に掲げて、それを達成することに全力を傾けるのです。
客単価や利益率、粗利など、その他の数字のことは、気にしなくてかまいません。「仕事のパイを増やしても、利益が少なければ、儲かるはずがない。本当に、客単価や利益率を無視していいの?」と思うかもしれませんが、ひとまず忘れてください。
パイを増やせば、儲かる仕組みが見えてくる
仕事のパイを増やすことに全力投球することをすすめるのは、理由があります。
それは、いくら客単価や利益率などを改善しようと考えても、仕事のパイが小さいままでは、それさえもなしえないからです。
たとえば、飲食店で、粗利率が高いメニューばかりを頼み、しかも毎日、2万円ずつ使ってくれる上得意客がいるとします。すると、仮に粗利率80%とすれば、利益率、客単価という側面で見ると、まさに優良店です。
しかし、その上得意客しかお客が来ないとするならば、2万円×30日として売上60万円。
これでは、ビジネスとして成り立ちません。
しかし、仕事のパイを増やせば、薄利多売だとしても、その先の展開が考えられます。
さらに、仕事のパイを増やしていくと、「これ以上は受注できない」「これだけクライアントがいれば、収入が安定する」という指標も見えてきます。実は、これが、儲かる仕組みを築くための鍵。この自分の会社ならではの経営指標があることで、現実的な目標が立てられるからです。
たとえば、「一人で受注できるのは30社が限界」などと分かれば、「人を雇って、さらに取引先を10社増やしてみよう」といった次の目標が見えてきます。あるいは、「クライアントが50社いれば、黒字になる」とわかったら、「経費を今よりも200万円減らしてみよう」と利益を増やす手立ても考えられるでしょう。
このような手順を踏めば、ムリなく、利益を安定的に稼げる仕組みが徐々に見えてくるというわけです。
少しずつでもパイを増やせば、成長できる
ちなみに、私自身も、自分の仕事を考える上で、「仕事のパイを増やす」ことだけを考えています。
具体的には、「1年間で新規のクライアントを30社増やす」ことだけに絞り、利益率などはあまり見ていません。利益率などを考えているヒマがあったら、クライアントを増やす手立てを一つでもおこなったほうが、よほど効果があります。
仕事のパイを増やすときのポイントは、「実現できるレベルの目標にすること」。高い目標を掲げすぎても、モチベーションが下がってしまいます。頑張ればなんとか達成できる範囲で、仕事のパイを増やしていけば、1年後には必ず今よりも儲かる会社に成長しています。その積み重ねが、儲かる仕組みをつくる一番の近道なのです。