返済期日はもうすぐそこ! 銀行は待ってくれる?
お金を借りたら支払い期日までに返済するのは当然のこと。そうはいっても会社の経営状態が悪化し、返済が滞ることも……。こんな時、ドラマだったら町工場の社長をイジメるような銀行マンが必ず登場するものですが、果たして現実はどうなのか? 解説していきます。
血も涙もない銀行員はドラマの世界だけ……?
かつて人気を博した銀行ドラマで「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を差し出す」と、主人公の銀行員が吐くシーンがありました。これは、銀行は晴れの日、つまり経営が好調の時は、どんどん資金を貸してくれるが、雨の日、つまり経営苦境の時は、傘(融資)をさっさと引き上げるという意味です。
ドラマや小説では、よくこうした”血も涙もない”銀行マンが登場しますが、「貸しはがし、貸し渋り」といった事態がリアルにあるものなのか。このテーマについては、改めて書いてみたいと思いますが、今回は「銀行から借りていたお金の返済が滞ったら待ってもらえるか」についてお話します。
全額一括返済を求められることも!
まず、連絡ナシにダラダラと返済が遅れ続けたケースを考えてみましょう。黙って、2回、3回と元金を返さない場合、元金の返済遅れが続くと「期限の利益の喪失」といって、貸している金額の全額一括返済を求められます。
たとえば7月末に返済が遅れたとします。8月末、9月末も遅れたとなったら、銀行は貸主に対して貸付総額の全額返済を求めることができるのです。
まずは税理士など専門家に相談すること
「全額返済しろなんて、やっぱり銀行って冷たい!」なんてボヤきたくなりますが、そうなる前に方法はありますのでご安心を!
銀行だって返済の計画をしっかりと提示し、返済の目途があるとならば、話し合いのテーブルについてくれます。
では、どうしたらいいのか。
まずやるべきことは、支払いが遅れそうだとわかった時点で銀行にすぐに連絡すること。その上で、返済のリスケジュールをお願いしましょう。
方法としては、
1 銀行に借りた元金返済を少なくする
2 元金返済を猶予してもらい、まずは利息のみを返済する
などが考えられます。
ただし、銀行としてはリスケジュールを申請した時点で、「その会社は危ない」と判断するため、条件変更に応じてくれるかは銀行ごとに異なります。
銀行との交渉や、その際に必要な経営改善計画書の作成については、税理士など専門家の相談のもとに行なうのがベターです。
法外なコンサルフィーをとる会社にご用心
ここで注意していただきたいのは、事業再生と称し、資金繰りの改善、金融機関の交渉などを含め、法外なコンサルフィーをとるような会社があることです。
私の顧客の事例ですが、業績が悪化し、改善のためにコンサルタント会社に依頼をした経営者の方がいらっしゃいました。後で聞くと、コンサルタント料を10万円払ってアドバイスしてもらった主な内容が「元金返済をやめましょう」というだけだったとか。
資金繰りで困っている時に、そんなアドバイスのためだけに多額な出費を強いられたのではたまりません。また、場合によっては経費削減や人員カットなどのアドバイスを受け、安易に従った場合、社員のモチベーションが下がり、さらなる業績悪化を招くことにもなりかねません。
期日間際になって「返済ができない!」とあわてるのではなく、日頃から税理士を含め会社のお金回りについて相談できる専門家、味方を見つけておくことが大事です。