スモールビジネスにおける「資産管理」の4つのポイント
ビジネス、会社経営において、残念ながら“未来永劫安泰”ということはありえません。
「突然、大口の顧客に切られた」「ライバル店が近所にできた」などなど、誰にも起こりうるリスクにどう対抗していくか。
その後ろ盾になるのが現金、つまり資金力です。
今回は、イザという時に備え、スモールビジネスにおいて資産管理がなぜ大事なのか、そのポイントについて解説していきます。
1 「節約」より、まずは「稼ぐ」
「万一に備えてお金を貯める」というと、すぐに「節約」という二文字が頭に浮かぶ人も多いようです。
しかし、まず、考えてみていただきたいのは「いくら貯めたら安心なのか」、そして「貯めるのに、どれくらいの期間かかるのか」ということです。
例えば、老後の備えとして、5,000万円、あるいは1億円必要などと言われたりしますが、年間100万円貯めても、5,000万円では50年、1億円貯めるには100年かかる計算に。
節約だけでは、到底、おぼつかないことは明らかです。
ならば支出のコントロールだけでなく、収入をいかに増やすかを考える必要があります。
もちろん会社員ならば、急に給料アップは臨めません。
しかし、自営業ならば、やり方次第で年間数百万円の収入アップも可能。そのチャンスを手中にしているならば、ぜひ挑んでいただきたいと思うのです。
起業したてのスタートアップ時であれば、ムダな初期投資、当面の運転資金も抑えることも大事ですが、軌道に乗り出したら、売上を上げるための投資も必須です。
だからこそ、まずは「稼ぐ」。「稼ぐ力」こそが、事業における最大のリスクヘッジなのです。
2 「節税」とは、外にお金をアウトプット→プールする仕組み作り
稼ぐ力を身につけたら、次のステップが節税です。
通常、銀行預金などでは、税金を差し引かれた後の手取りを「貯める」ことになりますが、自営業においては、「節税しながら貯める」方法を上手に使うことがポイント。
つまり、「外にお金をアウトプット→プール」の仕組み作りが肝心です。
例えば国民年金にプラスして、国民年金基金、あるいは「確定拠出年金(401k / DC / iDeCo)」に入る。一度、加入しさえすれば、支払った保険料や拠出金は全額控除できる。節税と将来への保障が両立できます。
将来の保障という意味では「小規模企業共済」。事業を廃止した時に掛金に応じた共済金が受け取れる、自営業向け退職金積立制度のようなもので、これも掛金を全額控除できます。
また、民間の生命保険も上手に活用すべし。さまざまな策を並行して上手に節税しつつ、お金をプールしていくようにしましょう。
3 資産管理に手間をかけない。3か月に1回のチェックでOK
近年、資産管理のさまざまなデジタルツールが登場。ネットリテラシーが高い方のなかには、こうしたツールを積極的に使って、資産管理に取り組んでいる方も多いようです。
それ自体は悪いことではありませんが、なかには“ツールを使うこと”自体が目的化し、詳細なグラフを作って満足してしまうような本末転倒なケースも散見されます。
私自身は、簡単なエクセル表で、投資の損益も含めて記録していますが、チェックするのは3ヵ月に1回。
投資をやっていないならば、通帳で銀行預金の残高さえ把握していれば十分です。
無駄遣いをしがちな方は、入金がある口座と、引き出し&カード引き落とし口座を分けて、入金口座から支出用口座に定額を移すようにすれば、支出コントロールもしやすいと思います。
4 やれることはすべてやるという習慣づけをしよう
資産管理というと、「面倒だ」「保険に入ったところで大した節税にはならないのでは」などという反応が返ってくることがあります。
しかし、事業・会社という器を使って、やれる節税策・資産管理法があるならば、すべてをやるべきというのが私の考えです。
私自身、生命保険、年金、介護保険、さらに投資など、さまざまな資産管理法を実践しています。それは自分自身の将来の備えでもあり、クライアントに対してお金に関わるトータルな助言を提供するためには、自ら体験すべしというポリシーからです。
“転ばぬ先の杖”の選択肢は多いに超したことはありません。ビジネスを継続していくためにも、少しずつでも資産管理に取り組むことをお勧めします。
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