フリーランスの「50歳限界説」に挑む その3
初心者マークのスモールビジネスは“パートナー選び”が肝心
「50歳フリーランス限界説」に夫婦で挑む本企画。前回の「その2」では、妻・大沢玲子をチャレンジャーに、自社メディアで鹿児島に関するご当地本刊行を決めるまでのいきさつについて触れました。
今回は取材・本の執筆以外に、どのような手続きを実践していったのか。主に私が担当した業務について書いていきたいと思います。
まず、自社で本を刊行し、どう流通するか。妻も取材・執筆のキャリアは長くても、流通・販売についてはまったくの門外漢。事情を知っている人に話を聞くのが早いと、私のクライアントで出版社勤務を経て、自分の作りたい本を刊行するために出版社を立ち上げた経営者にヒアリングにいきました。
曰く、近年、大手取次を通さずに本を刊行する中小の出版社が増えるなか、流通代行の会社が登場。その代表格が株式会社トランスビューです。トランスビューは自社で出版業務を行うとともに、同社が築いた書店とのネットワークを活用し取引代行を展開しています。
クライアントさんでもトランスビューを利用しているということで、担当者の紹介を経て、
当社でもトランスビューを利用することに決定しました。
次に印刷所をどうするか。こちらについても併せてクライアントの出版社社長に紹介してもらいました。少ない部数でも丁寧に、価格も良心的に対応してくれるということで、中央精版印刷株式会社に依頼することにしました。
また、本のイメージを左右するデザイナーについてはクライアントの編集プロダクション社長に紹介を受けました。
デザインの良し悪しの判断は私たちだけでは不安大でしたので、ベテランで進行をリードしてくれるような方をということで有限会社ZAPP!に依頼。
白金正之社長直々に担当いただき、その後、何度も助けていただくこととなりました。
誰と組むか。初心者マークのスモールビジネスにとって、パートナー選びは大きなポイントです。その観点では信頼できる人に信頼できる人を紹介してもらうのが一番。経験を経てそう思います。
請負業務から自律型へ。マインドシフトのハードルは意外に高い
その他、出版コードの取得、図書館への登録など、初めての細かい事務手続きに追われることとなりましたが、実は諸業務より一番の関門だったのは、妻が何度もくじけそうになったことでした。
出版社や代理店などの依頼に沿って、そのリクエストに応じて書くのは得意とするところですが、「自分で書きたいことを決めて、書きたいように書く」のは初めての経験。
いわゆる下請け業務一筋でやってきた人間にとっては、予想外の大きなハードルだったようです。
「こんなもの誰が読みたいのかな」「どう書いたらいいかわからない」と心折れるシーンもたびたび。身内同士、お互い感情的になり、夫婦ゲンカに発展することも数多くありました。
このあたりのマインドシフト、メンタルのコントロールは、フリーランスにとって盲点な課題のように思います。コレという解決策、処方箋は見つかっておらず、今も試行錯誤の途上にあります。
次回は、どうやって販促活動を展開していったのか。「その4」で、夫婦で直面した厳しい現実も含めてご紹介します。