役員報酬の適正額から考える、経営者個人の財産形成のあり方
Warning: Use of undefined constant user_level - assumed 'user_level' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/users/0/goshima/web/goshima-money.net/zeirishi/cms/wp-content/plugins/ultimate-google-analytics/ultimate_ga.php on line 524
長く安定的な経営を続けるためには、会社だけでなく経営者本人の「懐具合」も大きく関わってきます。時には、会社の将来や存亡まで左右する社長の個人資産。今回は「役員報酬」の決め方の観点から、経営者の財産形成の大切さを解説していきたいと思います。
役員報酬、どうやって決めていますか?
――ズバリ、経営者の給与(役員報酬)の決め方についてお尋ねします。正直なところ、経営的な「適正額」というのがイマイチよくわからないんです。
五島 いまはどれくらいの額を受け取っていますか?
――利益からいうとかなり少ないほうかもしれません。万が一のときのために会社側にキャッシュをプールしておきたい気持ちがあり、私個人の手元にはあまりお金を置かないようにしているんです。この考え方、合っていますか?
五島 役員報酬は今後の利益計画や法人・個人の納税額のバランスなど、さまざまな視点から適正額を算定する必要がありますが、いまおっしゃったリスクマネジメントの観点からお話をすると逆。役員報酬は、しっかりともらっておくべきです
会社の負債を経営者個人が抱えるリスク
――そうなんですか?
五島 少し話はそれますが、よくテレビドラマや小説で、町工場の社長さんが借金苦に追い込まれて首をくくってしまう…という話がありますよね。残念ながらこういうカタチでの経営者の自殺は現実社会でも絶えないんですが、なぜこういうことが起きるかというと日本には「個人保証」というものがあるからなんです。
これは、経営が傾き借金の返済ができなくなった場合に、土地や建物、生命保険など「保証人」である経営者個人の資産を返済にあてさせる制度です。そうやって貸出先は“とりっぱぐれ”を防いでいます。
――一自己破産しない限りは、「個人保証」が経営者の首を絞め続ける…。だから最悪の場合、「死んでお詫びをします」という話にもなってしまうんですよね。
五島 そう。何がいいたいかというと、「経営者は会社の負債を“個人”で抱えるリスクを背負っている。だからこそ、個人資産はしっかり蓄えておかないとマズイよね」という話なんです。ですから本題である「役員報酬はどれくらいもらうべきか」というのも、このことを念頭に置いて考えなければいけません。
たとえば会社の規模や利益からして100万円の役員報酬をもらっても良さそうな社長さんが、50万円しか受け取らないとする。
「自分よりもがんばっている社員の給与を上げてやりたい」
「きちんと利益を出し、税金を納めて社会に還元しないと」
最近こういう考え方の経営者も増えていて素晴らしいと思うのですが、現実問題として、資金繰りの悪化や倒産の危機など不測の事態が起こったときに「経営者の個人資産がない」という状況だと目も当てられません。
――なるほど。健全に経営を回していくことに必死で、自分の資産のことは後回し、ではいけないわけですね。
五島 実は、そういう経営者の方はとても多い。これは「融資が下りる・下りない」という問題にも関わっていて、貸出先も社長本人が担保になるような財産を持っているかということを融資決定の判断材料にしている部分があります。
つまり経営者がきちんと役員報酬をもらっているということは、その会社の「信用」にもつながるわけです。
会社のお金と自分のお金はセットで考える
――具体的には、会社と個人、どれくらいのバランスでお金を配分すべきですか?
五島 設立初期の場合でしたら節税の観点からいっても、会社の利益はほぼ残さず、役員報酬にまわすくらいでも良いでしょう。なぜなら利益が多ければ多いほど、法人税などが跳ね上がるからです。
ただし、そこで受け取った役員報酬を全部使い切ってはダメです。たとえば、100万円の役員報酬を受け取るなら半分はとっておく。いざというときの“切り札”を、きちんと蓄えておくということです。
――サラリーマン時代は「会社のお金」と「自分のお金」は完全に切り離されていましたが、いまはセットで考えなくてはいけないんですね。
五島 財産形成の方法にもいろいろなやり方があって、住まいを社宅にして個人で家賃を負担しないようにするとか、保険を会社名義に変えるといった節税対策もその一環といえるでしょう。
経営者個人の財産形成をおろそかにしない――これは、自身の生活だけでなく、長く安定した経営を続けていくためにも、忘れてはならないポイントのひとつです。