見かけの値段にツラれると高くつく!? 税理士の良し悪しをはかる一つのモノサシ
契約している税理士がいるという方、そのサービス内容に満足していますか?「今の税理士しか知らないから、いいか悪いのかよくわからない」、あるいは「そもそも税理士なんて、誰に頼んでも大して変わらないんじゃ?」という意見もあるかもしれません。では、税理士の良し悪しとは、いったいどこで判断したらいいのか。今回は“顧問料”という観点から斬ってみたいと思います。
気づいたら追加料金が上乗せ!? オプション料金に御注意
月額顧問料数千円からOK!――。
ネットで「税理士、顧問料、安い」などと検索すると、そのような激安価格を提示している事務所を目にします。
「今、月額〇万円で契約しているのが、数千円にコストダウンできるなら万々歳!」
そう思って、切り替えを考える方もいらっしゃるかもしれませんが、安易に飛びつくのは、ちょっと待っていただきたいのです。
よくよく料金表の中身を吟味してみてください。
月額顧問料が、会社の売上や資本金などの規模によって、細分化されており、相応の規模になれば、結局、数万円程度になるケースがあるのは、以前、他のコラムでも指摘しました。
他にも、経理記帳代行の仕訳数や所要期間によって、オプションで値段が加算されるケースも。スポットでの税務相談、年末調整作業、会社設立手続きなど、細かい作業ごとに追加料金を設定しているような事務所もあります。
これでは、入口はいくらおトクに見えても、トータルで換算すれば、コストダウンをはかれるどころか、後から「結局、高くついた!」となることもありえます。
各種料金設定は明確・単純であるべき
実は、こうしたオプション料金が加算されていくシステムは、今に始まったことではなく、昔ながらの税理士事務所でもまま散見されます。
たとえば、なんらかの手続きを依頼した際。何の連絡もなく、後から請求書が来る、いつの間にか追加料金が引き落とされていたといったことも。
そもそも、昔ながらの税理士先生の場合、「契約書を交わしていない」ことも珍しくなく、
業務範囲や、その料金設定が明確でないといったケースもありえます。
そのため、悪質な場合、気づいたら年々、顧問料を上乗せさせられていたなんて話も……。
そこまではいかなくても、最低限契約を交わした内容に対しては特別な追加料金ナシでやってくれる税理士事務所もあるとは思います。
ただし、事務所の規模が大きくなればなるほど、顧客の実態に合わせ、個別のサービスを融通してくれるというのは期待しにくく、画一的なサービスになりやすいのが特徴です。
プライスレスの信頼関係を築けるか否か
そもそも顧問税理士をつける意味はどこにあるのでしょうか。
さまざまな考え方があると思いますが、顧問税理士の存在意義とは、
「長期的スタンスで、かつ決まった月額顧問料内で、さまざな相談や悩みに応じてもらえる」
ことにあるというのが私の考えです。
そこで何かを依頼、相談するたびに、追加料金がかかってしまうのでは、
「時間、料金が気になって、落ち着いて相談もできない」
「お金がかかるなら、依頼するのはやめておこう」
となりかねません。
そうすると、その時は小さな問題や相談事でも、気付いた時には、手遅れということにもなりかねないのです。
安定的に会社経営を継続していくには、「何か」あってから相談するのはもちろんのこと、「何もない」時でも、メールや電話で気軽に質問できような関係を築けるかどうかが重要です。
よって、顧問税理士を選ぶ際に、そのコストを検討材料に入れるならば、まずは、ホームページなどで各種料金表が明示されていることを大前提に、詳細の料金内訳を確認することが肝要です。
さらに、あまりにオプション料金が細かく設定されている場合は、どうしても料金などが気になり、密な関係が構築しにくくなってしまう点には注意が必要です。
税理士にかかるコストを考える際には、いわば“プライスレス”な信頼関係を築けるか否かも視野に入れ、目先のおトク感につられることなく、複合的な視点で検討いただくことをお勧めします。